施餓鬼会



お釈迦さまの十大弟子の中で、第1といわれるという方がおりました。あるとき阿難尊者が修行をしていると、という見るからに痩せ細り、口から炎を出している餓鬼がやって来ました。そして突然「お前はあと3日で死に、私と同じ餓鬼になる」と阿難尊者に宣告したのです。「あらゆる困苦の者に食べものを施し、仏・法・僧の三宝を供養すれば、お前も私も救われる。さもないと、お前は必ず3日以内に死ぬ」阿難尊者は大変驚いて、お釈迦さまにそのことをお話ししました。お釈迦さまはすべての餓鬼を救う方法を教え、阿難尊者はさっそく供養を行い、自分の寿命も延びて悟りを開かれたということです。私たちはややもすると、自分だけ良ければそれでいい、という自己中心的な心に陥ってしまいます。お釈迦さまは、阿難尊者のそうした1人よがりの生き方を見抜き、反省させるためにこうした教えを説かれたのではないでしょうか。餓鬼とは「心の満たされない鬼」のことです。ここでいう鬼は「魂」と言い換えることができるでしょう。その意味では「心の満たされない鬼」はまさに現代人を象徴しているといっても過言ではありません。誰の世話にもならず、ひとりで生きているかのように思っている人は、1粒の米、野菜、魚、肉などの食物や衣服、電化製品、そして1枚の紙切れにいたるまで、それぞれに生命があり、それぞれがその役割を精一杯果たしていることに気づきません。私たちはそうした「物の生命(役割)」をいただいて、生命や生活を保持させていただいているのです。私たちには、今そのことに気づいて、先祖から受け継いだ大切な「徳」という生命を次の世代へ伝える責任があるのです。施餓鬼会の意味は、自己中心の世界から脱し、「満たされない魂」を開放することにあります。それにより、生きとし生けるすべてのものに感謝して、喜びのある生活ができるようになるのです。自分のできる精一杯をいつも誰かのために、何かのために捧げられるような精神を育んでいただければ幸いです。


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